お悩み相談
りらく世代の歯科相談室
68歳 無職 男性
第12回 手術やがん治療時に必要なお口のケアとは?
大病の時こそ事前の備えが効果を発揮 お口をきれいにすることは健康への第一歩
先日受けた検診の結果が思わしくなく、精密検査を行ったところ早期の胃がんが発見されました。詳しく検査した後、手術を含む治療が行われる予定です。その診察の中で、主治医から口の中の状態(入れ歯や歯周病の有無)などを聞かれ、治療に入る前に歯医者に通う指示があり、治療中は専門家の口腔ケアが必要になることを教えられました。なぜ胃がんの手術や治療に口の手入れが必要なのでしょうか?
口腔ケアの重視化へ 今年から方針が一新
がんは手術技術の向上や治療法の進歩により「不治の病」でなくなりつつあります。一方、治療に伴って起きる口腔内の粘膜炎症や乾燥、合併症などで多くの患者が苦しんでいます。そこで国はがん対策を見直し、手術や治療の際に口腔ケアをより重視して行うよう病院及び歯科医師に方針を提示しました。
手術後のリスクを減らし がん治療のつらさを軽減
全身麻酔を伴う手術の際、お口のケアは重要な役割を果たします。手術時は口から呼吸用の管を通しますが、お口の中が汚れているとカビや雑菌が呼吸用の管を通して体内に入り込んでしまいます。お口のケアはこれを防ぐだけでなく、術後も口中の雑菌が原因で起こる肺炎を防いでくれます。また、抗がん剤使用時の歯科医師による口腔ケアは、口腔内の症状緩和や、全身に影響を及ぼす感染症などの予防にたいへん効果的です。お口の中の痛みや乾燥が減れば食事がおいしく食べられ、良好な栄養摂取で体力や免疫力の向上にもつながります。
手術・治療時の苦痛やリスクを減らし上手にがんを治すために、ぜひ専門家の口腔ケアを受けてみてください。また、がん治療が始まると歯科通院の時間を取るのが難しくなります。健康な時こそお口のメンテナンスをしっかり行いたいものです。
掲載情報についてのご注意
信頼性の高い情報発信に努めておりますが、病状などは個別のものになりますので、皆さまに同じように当てはまるものではございません。掲載内容はご参考程度にとどめて頂き、実際の診査・診断については医療機関を受診し検査等を受けて下さい。